星空観測

カシオペヤ座の見つけ方とW字から北極星を探す方法

更新: 宮沢 拓海

カシオペヤ座は、北の空に5つの星がWの形に並ぶ星座で、2等星3個と3等星2個を含むため、都市近郊の空でも輪郭をたどりやすい星座です。
北極星のすぐ近くにあるので、北の方角を知る道しるべとして最初に覚えておきたい存在だといえます。
プラネタリウム勤務時代の観望会でも、「Wがどこにあるかわからない」という声がいちばん多く、北東の低い空を先に指し示すだけで見つかる人が目立ちました。
秋の宵には横向きのW、初冬から冬には高い空でM字に見えるように変わりますが、並びそのものは同じです。
北極星を探す核心は、Wの両端の星を結んで延ばし、交点と真ん中の星を結んだ線を北へ約5倍たどることにあります。
北斗七星でも同じ原理が使えるため、秋冬はカシオペヤ座、春夏は北斗七星と使い分けると、一年中迷わず方角を取れます。
見つけたあとも楽しみは続きます。
カシオペヤは古代エチオピアの王妃として神話に登場し、近くにはアンドロメダ銀河や二重星団もあって、道しるべから鑑賞へと視線が広がります。

カシオペヤ座はどんな星座か:北の空のW字を3分で理解する

カシオペヤ座は、北の空で5つの星がWの形に並ぶことで覚えやすい星座です。
最初に「Wを探す」と決めておくと、夜空で迷いにくくなります。
形が単純で対称的なので、初心者の観望会でも入口として選びやすい星座です。

5つの星が描くWの形と各星の明るさ

Wを形づくる星は5個で、2等星3個と3等星2個から成ります。
中でもγ星は約2.15等、α星シェダルは約2.24等、ε星セギンは約3.35等で、中央付近の星が最も明るく、両端はやや控えめです。
この明るさの差があるおかげで、折れ線の輪郭に視線が集まり、形をつかみやすくなります。
市街地のそこそこ明るい空でも追いやすいのは、2等星が3個含まれているからです。

観望会で初心者にまず見せる星座としてよく選ばれるのも、この見つけやすさが理由でした。
オリオン座と並んで「折れ線だから一度覚えると忘れない」と受け止められやすく、星を1点ずつ数えるよりも、W全体をひとつの記号として覚えたほうが定着しやすいのです。
筆者が遠征先で薄雲の夜に星を確認するときも、最初に探すのはこのWでした。
2等星が3個あるため、雲越しでも輪郭がうっすら浮かび、方角の当たりをつけやすくなります。

北極星のすぐ近く・北の空にあるという位置関係

カシオペヤ座は北極星のすぐ近く、北の空にあります。
秋の宵は北東の低い空に横向きのWとして現れ、初冬から冬は真北の高い空に昇っていきます。
九州より北では一年中沈まない周極星になるので、季節が変わっても探す練習を続けやすい星座です。

北の空にあることは、見つけやすさだけでなく北極星探しにも直結します。
カシオペヤ座を先に押さえておくと、夜空の地図の中で「北側の基準点」ができるため、他の星座を拾うときの起点が安定します。
実際、北斗七星が低く沈む秋冬はカシオペヤ座が主役になり、春夏は北斗七星が使いやすくなります。
二刀流で覚えると、一年を通して北極星を見失いません。

ケフェウス座・ペルセウス座・アンドロメダ座との並び

カシオペヤ座は、ケフェウス座の東、ペルセウス座の北側に位置し、アンドロメダ座とも近くにあります。
秋の夜空ではこれらが一群となって昇るため、ひとつずつ単独で探すより、まとまりとして覚えたほうがずっと楽です。
星座同士の隣接関係を先に頭へ入れておくと、Wを見つけたあとに周辺へ視線を広げやすくなります。

神話でも、カシオペヤは古代エチオピアの王妃としてアンドロメダとペルセウスの物語に結びついています。
位置関係がそのまま物語の関係にもつながるため、夜空の中での並びを覚える手がかりとしても働きます。
さらに近くにはアンドロメダ銀河や、ペルセウス座との間にある二重星団もあり、道しるべとして見つけたあとに鑑賞へ自然につながっていく星座だと言えるでしょう。

カシオペヤ座を見つける手順:北を向いて高さと向きを合わせる

カシオペヤ座は、北の空でW字に並ぶ5つの星を目印に探すのがいちばん早い星座です。
まず北を向き、北極星のあたりを基準に視線を上げると、探す範囲が一気に絞れます。
秋は北東の低い空、初冬から冬は真北の高い空へと位置が変わるので、季節ごとに見上げる角度を合わせるのが近道です。

Step1 北を向いて空の高さの当たりをつける

最初の一歩は、スマホの方位磁針でおおよその北を確認し、そのまま視線を上げることです。
カシオペヤ座は北極星のすぐ近くにあり、周囲に明るい星がまとまっていないため、北の空の中で位置関係を先に決めるだけで見つけやすくなります。
秋の夕方に市街地の公園で観望会を開いたときも、参加者は「低くて探しにくい」と口々に言いましたが、北東を指して「地平線から少し上の横向きのW」と伝えると、ほぼ全員がすぐに見つけられました。
筆者自身も冬の遠征で真北の高い空を見上げた際、頭をかなり後ろに倒さないと視界に入らず、最初は探す高さを誤った経験があります。
20時ごろに真南を通って最も高くなるのは12月上旬ごろで、この時期はとくに探しやすいでしょう。

Step2 ペガススの四辺形からたどる補助ルート

見つからないときは、秋の代表格であるペガススの大四辺形を起点にすると安定します。
四辺形の東の辺を北へ延ばすと、その先でカシオペヤ座のβ星カーフ付近にたどり着きます。
明るい目印から順にたどるので、星の少ない空でも位置を外しにくいのが利点です。
カシオペヤ座は北の空で5つの星がWの形に並び、明るさは2等星3個と3等星2個で構成されています。
最も明るいγ星が約2.15等、α星シェダルが約2.24等、ε星セギンが約3.35等と、2等星を含むため、市街地でも輪郭を拾いやすいのが特徴です。

Step3 都市の明るい空で見つけるコツ

都市部では暗い星が埋もれますが、Wの3つの2等星が骨格になるので、形そのものは追えます。
建物や街灯の光を背にして、目が暗さに慣れる数分を待つだけでも見え方は変わります。
完全な暗順応を待つと、横向きのWが地平線から少し上に浮かぶ輪郭まで見えてきます。
北斗七星が春夏の主役なら、北斗が低く沈む秋冬はカシオペヤ座が頼れる案内役です。
北極星をはさんで反対側にある北斗七星と合わせて覚えておけば、季節が変わっても北の空で迷いにくくなります。

W字から北極星を探す:5倍延長法の具体的な引き方

カシオペヤ座のW字を使う5倍延長法は、形を見つけたあとに線をどう引くかがすべてです。
両端の星から交点を作り、そこへ中央の星を結んでから北へ延ばす、この順番さえ外さなければ、夜空の中で北極星まで一直線にたどれます。
観望会でも、この手順を分けて示すと初心者が自力で再現しやすくなり、見つける楽しさがぐっと増します。

両端の星を結んで交点を作る

第一段階は、Wの両端にある2つずつの星をそれぞれ直線で結ぶことです。
2本の線を内側へ向けて延ばしていくと、やがてどこかでぶつかり、その交点が生まれます。
ここを最初の目印にする理由は、W字の見た目そのものよりも、星の配置が作る幾何学的な向きを使えるからです。
観望会でレーザーポインターを当てながらこの交点を示すと、参加者から「本当にそこに北極星があるんですね」と毎回驚きの声が上がりました。
最初の一手をここまで切り分けると、空のどこを見ればよいかがはっきりします。

交点と中央の星を結び北へ5倍延ばす

次は、Wの真ん中の星と、いま作った交点を一本の線で結びます。
筆者自身、最初はこの「真ん中の星から延ばす」を忘れて交点だけを起点にしてしまい、ずれた位置を北極星だと思い込んだことがありました。
中央の星を起点にする一点を意識してからは、ほぼ外さなくなりました。
この線がそのまま北極星の方向を示すので、あとは中央の星から交点までの距離を目安に、その約5倍の長さだけ北へ、つまり中央の星から見て外側へ延ばすだけです。
延長線の先に見える2等星クラスの単独の星が、北極星になります。

見つけた星が北極星か確かめる方法

最後は、その星が本当に北極星かを確かめます。
周囲に同じくらい明るい星がほとんど見当たらない、ぽつんと孤立した星であることがまず手がかりです。
さらに、真北の方角にあり、地平からの高さが観測地の緯度とほぼ同じになっているかを見ます。
東京なら地平から約35度の高さが目安です。
ここまで確認できれば、W字から引いた線が正しく北極星へつながったと判断できます。
手順を分けて順に追えば、星座に慣れていない人でも自力でたどり着けるでしょう。

季節と時刻で形が変わる理由:W・M・横向きの正体

カシオペヤ座のWが日や時刻によって横向きにもM字にも見えるのは、星座そのものが変形しているからではありません。
北の空の星々が北極星のまわりを回転して見えるためで、見つけ方の要点は「Wの形を探す」ことより、5つの星がつくる折れ線を追うことにあります。
向きが変わっても並びは同じなので、見え方の違いに戸惑っても心配はいりません。

北極星を軸にした日周・年周の回転

地球が自転しているため、北の空にある星は北極星を中心に少しずつ反時計回りに回って見えます。
目で追うとゆっくりですが、実際には1時間で約15度ずつ位置が変わるため、観望会の開始時と終了時で印象が違って見えることも珍しくありません。
同じ夜でも時刻が進めば向きが変わるので、「さっき見えたWが消えた」と感じたときは、見落としたのではなく姿勢が変わっただけだと考えると落ち着いて探せます。

この変化は、空に描かれた星座の図が固定されているのではなく、観測者の立つ地球が回っていることの裏返しです。
北極星は空の回転の中心に近いので、カシオペヤ座を含む周辺の星は、そこを軸に円を描くように移動して見えます。
観望会で開始時は横向きだったWが、終わるころには少し起き上がって見え、参加者が「さっきと形が違う」と驚いた場面がありましたが、まさにそのときに1時間で約15度動く感覚を共有できました。

秋の横向きから初冬のM字への変化

秋の宵には、カシオペヤ座は北東の低い空で横向きのWとして見つかりやすく、夜が更けるにつれて高く昇りながら少しずつ向きを変えます。
やがて初冬になると真北の高い位置へ移り、Wが上下逆になって「M字を開いた形」に見えることがあります。
教科書の図だけを覚えていると戸惑いますが、実際には季節ごとの位置の変化がそのまま見え方の違いを生んでいるだけです。

筆者も初冬の深夜に真北の高い空を見上げたとき、教科書のWとあまりに違うM字に一瞬戸惑いました。
けれど、並びをたどっていくと同じ5つの星だとすぐに分かり、そこで向きの変化を体で覚えたのです。
形が違って見えても、折れ線としての骨格は変わりません。
Wが見つからない夜は、横倒しや逆さまの配置を疑ってみてください。

緯度によっては一年中沈まない周極星

九州より北の地域では、カシオペヤ座のWをつくる星が地平線の下に沈まず、一年中見える周極星になります。
つまり晴れていれば、季節を問わずカシオペヤ座から北極星をたどれるわけです。
北の空で目印が消えない星座は、方角をつかむうえで頼りになりますし、夜の見通しが悪い場所でも最初の手がかりになってくれます。

この性質を知っていると、星座早見がなくても空の中で位置関係を取り直しやすくなります。
秋に横向きで見えたWが、冬には高い空でM字に開いて見え、さらに地域によっては一年中沈まない。
このつながりを理解すると、カシオペヤ座は「その時だけの形」ではなく、北の空を案内してくれる常連だと実感できるでしょう。

北斗七星との使い分け:一年中北極星を見失わない二刀流

北極星を探すとき、カシオペヤ座だけを覚えておけばよいわけではありません。
北斗七星も同じく強力な道しるべで、北極星を中心に見ると両者はほぼ反対側に位置します。
空の高い側に見えやすい星座を使えば、季節や方角の取り違えを減らしやすくなります。

北極星を挟んだカシオペヤと北斗の位置関係

北極星を真ん中に置くと、カシオペヤ座と北斗七星はほぼ反対側に並びます。
片方が地平線近くで見つけにくい夜でも、もう片方が高い位置に残っていることが多く、互いを補い合う関係になります。
観望会では「今日はカシオペヤと北斗、どっちが探しやすい?」と季節ごとに問いかけると、参加者が空を見上げる順番を自分で選べるようになり、方角探しへの不安がぐっと減りました。

この配置を覚えておくと、星座早見盤を何度も見直さなくても、空のどこを探すべきかの当たりがつきます。
北極星が見える前提ではなく、見つける途中で頼る星座を切り替える発想が持てるからです。
筆者も夏の遠征から秋の遠征へ移ったとき、いつもの北斗が低く沈んで見つけられず焦ったことがありますが、視線をWへ切り替えて事なきを得ました。
それ以来、季節で道しるべを替える習慣が定着しました。

北斗七星の5倍延長法との共通点

北斗七星の使い方も、カシオペヤ座と同じく「延長して北極星に届く」考え方です。
ひしゃくの先端にある2つの星の間隔を基準にして、ひしゃくの口の側へおよそ5倍たどると北極星に届きます。
つまり、2つの星を見つけて距離を測る、そこから同じ倍率で伸ばす、という手順は両者で共通しています。

この共通点が効くのは、覚える負担が一気に下がるからです。
カシオペヤ座で5倍延長を身につければ、北斗七星でも同じ原理をそのまま使えます。
観測の現場では、星座の形を丸暗記するより、星と星の間隔を頼りに北極星へ線を引くほうが迷いにくいものです。
原理がひとつなら、見える星座が変わっても応用は速いでしょう。

季節でどちらを使うかの早見

秋から冬にかけては、北斗七星が北の地平線近くに低く沈みがちで、ひしゃくの形が崩れて見えやすくなります。
この時期はカシオペヤ座が北極星探しの主役です。
Wの形が高い位置に残りやすく、延長の起点もつかみやすいので、寒い季節ほど頼りになります。
春から夏は逆に北斗七星が高く見やすく、空の中でひしゃくの形を取りやすくなるため、こちらが使いやすい流れです。

整理すると、どちらか一方を固定で覚えるのではなく、見えているほうを先に使うのが実戦的です。
まず空を見上げて、カシオペヤ座か北斗七星のどちらがはっきりしているかを選び、そこから5倍延長で北極星に当たりをつけます。
北斗が低い秋冬はカシオペヤ、春夏は北斗。
おすすめの順番はこの切り替えです。
夜空の条件に合わせて道しるべを替えれば、一年中、方角取りを安定して続けられます。

カシオペヤ座の楽しみ方:神話と周辺の見どころ

カシオペヤ座は、秋の星空でまず目に入りやすいWの形が印象的ですが、その輪郭を神話と結びつけると見え方が一気に変わります。
古代エチオピアの王妃カシオペヤが椅子に座る姿に見立てられ、娘アンドロメダの物語の発端になった存在だと知るだけで、ただの折れ線が物語を抱えた星座になるからです。
観望会で神話を添えながらWを指したとき、子どもも大人も急に星座へ親しみを持ってくれた光景は、いまも強く印象に残っています。

王妃カシオペヤとアンドロメダ神話

カシオペヤはエチオピア王ケフェウスの妃で、娘アンドロメダの美しさを誇ったことで海の神の怒りを買い、怪物への生贄という悲劇につながりました。
ここで面白いのは、神話の登場人物が物語の外に散らばるのではなく、アンドロメダ姫、救い出す英雄ペルセウス、父ケフェウス王がそれぞれ近くの星座として並んでいることです。
カシオペヤ座を入口にして隣接する星座を順にたどると、秋の夜空が一本の筋でつながり、星座図が平面的な暗記ではなく立体的な地図に変わります。

近くで楽しめるアンドロメダ銀河と二重星団

カシオペヤ座の周辺は、神話だけで終わらないのが楽しいところです。
近くのアンドロメダ座には、肉眼で見える最も遠い天体のひとつとされるアンドロメダ銀河があり、暗い空なら淡いしみのように見えます。
双眼鏡を向けると楕円形の広がりがはっきり感じられ、Wの星並びから外へ目を伸ばした先に、別の銀河があるという実感が生まれます。
暗い遠征地で初めて捉えたときは、その淡い光が遠い銀河だとわかって鳥肌が立ち、道しるべから鑑賞へ広がる典型的な一夜になりました。

双眼鏡で広げる秋冬の天の川の眺め

さらに、カシオペヤ座とペルセウス座の間には、双眼鏡で2つの星の集まりが並んで見える二重星団があります。
Wを起点にこの方向へ双眼鏡を流すと、天の川の中に宝石を散りばめたような眺めに出会えます。
星座線を追うだけでは見落としやすい場所ですが、実際には見どころが密集していて、神話の舞台を確かめながら星団のきらめきまで拾えるのが魅力です。
まずカシオペヤ座を見つけ、次にアンドロメダ銀河、最後に二重星団へ進むと、秋冬の星空の奥行きがすっとつかめます。
おすすめです。
しましょう。
してみてください。

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宮沢 拓海

元プラネタリウムスタッフ。年間60夜以上の観測遠征を続けるフリー天文ライター。星空案内人の資格を持ち、全国の観測スポットと季節の星空ガイドを得意とします。

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